【2025年度開始】大学入試の新課程「情報Ⅰ」とは?サンプル問題、対策方法を解説

2025年度の大学入試から、「情報Ⅰ」が新たに試験科目として加わりました。
「大学入試の『情報Ⅰ』はどんな内容?」
「どんな問題が出題されるの? 対策方法はあるの?」
大学受験を控える多くの方にとって、「情報Ⅰ」の詳細や対策方法が気になるところではないでしょうか。
「情報Ⅰ」は、2022年度以降に高校へ入学した生徒が履修する科目で、プログラミングやデータ分析、情報モラルなど、今の社会で求められるスキルが問われる科目です。
この記事では、大学入試の新課程「情報Ⅰ」の内容や受験科目となる大学、問題内容と対策方法をそれぞれ解説していきます。
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この記事のポイント
大学入試の新課程「情報Ⅰ」とは?

「情報Ⅰ」は、2022年度から高等学校で共通必修科目となりました。
内容は次の4つの分野に分かれており、それぞれ目的が明確に設定されています。
項目 | 目的 |
---|---|
(1)情報社会の問題解決 | 現在の情報技術がどのような役割を果たし、影響を与えるかなどを理解する |
(2)コミュニケーションと情報デザイン | メディアの特性やコミュ ニケーション手段について理解し、情報デザインの考え方を理解し表現する技能を身に付ける |
(3)コンピュータとプログラミング | コンピュー タの仕組み、モデル化、シミュレーション、アルゴリズムとプログラミングなどを学ぶ |
(4)情報通信ネットワークとデータの活用 | ネットワークの設計・構築に必要な知識と基本的なデータの扱い方、数学Ⅰと連携した統計などについて学ぶ |
項目ごとの目的を理解しておくことで学習するイメージしやすくなります。さらに詳しく知りたい方は「文部科学省|高等学校情報化「情報Ⅰ」教員研修用教材」をご確認ください。
情報Ⅱとの違いは?
「情報Ⅰ」は全高校生が履修する共通必修科目ですが、「情報Ⅱ」は選択科目で、AIやデータサイエンス、プログラミングの発展的な内容、情報セキュリティなど、より専門的な内容を学びます。
2025年度の共通テストや一般選抜の試験範囲には含まれておりませんが、2026年度以降の大学入試で導入される可能性もありますので、最新の入試情報をこまめに確認しましょう。
大学入試「情報Ⅰ」が試験科目となる大学【共通テストで出題】

ここでは、「情報Ⅰ」が試験科目となる大学について、国立・公立・私立大学に分けて詳しく解説します。
国立大学
国立大学の一般選抜では、一次試験として大学入学共通テストを受験します。
2025年度以降は、どの国立大学を受ける場合も「情報Ⅰ」が共通テストに含まれます。
「情報Ⅰ」を含む成績で合否を判定する国立大学がほとんどですが、大学によって扱いが異なる点に注意が必要でしょう。
大阪大学での配点比率は文系は約3.8%~6.6%、理系は約3.2%~7.6%と低く設定しています。一方で、神戸大学での配点比率は理学部や経営学部などの学部では約0.9%~6.2%となっていますが工学部や経済学部では11%~14%となっており、「情報Ⅰ」をより重視していると考えられます。
参考:個別指導塾アイディール|主要国立大学2025年令和7年度共通テスト「情報Ⅰ」配点
必ず志望大学の入試情報を確認しましょう。
公立大学
2025年度の公立大学入試においても、「情報Ⅰ」を導入している大学は多数あります。
現時点で、関西の以下の大学が必須科目、または選択科目で「情報Ⅰ」を導入しています。
- 大阪公立大学
- 神戸市外国語大学
- 神戸市看護大学
- 兵庫県立大学
- 京都市立芸術大学
- 京都府立大学
- 京都府立医科大学
- 福知山公立大学
- 奈良県立大学
- 奈良県立医科大学
- 滋賀県立大学
- 和歌山県立医科大学
学部や日程によって利用しない場合も多いので、志望大学の入試情報を確認しておきましょう。
私立大学
私立大学では、2025年度入試で「情報Ⅰ」を導入するかは各大学の判断に委ねられており、以下の難関大が導入しています。
ただし、国立大学・公立大学とは異なり、「必修科目」ではなく「選択科目」に追加する形となります。
- 早稲田大学
- 上智大学
- 東京理科大学
- 明治大学
- 青山学院大学
- 立教大学
- 法政大学
- 中央大学
- 関西大学
- 関西学院大学
- 同志社大学
- 立命館大学
私立大学において必修科目となるケースは少ないため、情報Ⅰを選択して受験するかは検討が必要でしょう。
大学入試「情報Ⅰ」の問題内容・対策方法【サンプルあり】

では実際に、大学入試「情報Ⅰ」の問題内容を確認していきましょう。
問題ごとの考え方や対策方法も解説するので、参考にしてください。
※以下の問題は全て「独立行政法人 大学入試センター|令和7年度大学入学共通テスト 試作問題『情報Ⅰ』」から引用しています。
第1問「問1 a」

第1問「問1 a」は、インターネットを使ったサービス利用に関する基本的な問題です。
実際にSNSやWebサイトを利用する場面を思い浮かべるとイメージしやすい問題で、「0」は自分のペースで返信して問題ないため、不適切です。
「1」はTikTokやInstagramを利用する場面を思い浮かべると分かりやすく、なりすましアカウントが多く存在しているため、適切と言えます。
「2」は情報開示の観点で特定されることもあるので、不適切です。
「3」はプライバシー保護の観点から、不特定多数のグループで個人情報を記載するのはNGです。
「4」は営利目的でない場合においては著作物利用はOKですが、利益を得られる場合は著作権侵害に当たるので、注意すべきポイントとして適切と言えます。
「5」は、自分の顔や容姿をみだりに「撮影」「公表」されない権利であり、たとえ芸能人の写真でもNGとなるケースも多いため、不適切です。
このように、他の教科と同様に「情報Ⅰ」でも、選択肢一つひとつに対して「1は〇〇だから正解」と明らかにすることで、解答の精度が高まります。
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第2問「A 問1」

第2問は、生徒の太郎さんと先生の会話形式から出題される問題です。

まず問1ですが、問1は現代文のような問題なので「ア」の前後の因果関係から答えを導き出します。
前文で太郎が「すごい発明ですね。だから特許を取ったのでしょうか」と質問しており、先生が「もちろん」と回答しており、その次の文で「ア」があり、「世の中で広く使われるようになったんだよ」と回答しています。
ここから分かるのは2つで、「特許を取ったこと」「世の中で広く使われるようになったこと」です。
そこから選択肢を見ていくと、「0」の「使用料を高くすること」は「世の中で広く使われる」と相反する内容なので誤りです。
「1」の「特許を放棄して」は「もちろん」に対して矛盾する回答なので誤りです。
「2」の「管理を厳密にした」は、「世の中で広く使われる」に矛盾します。
「3」は「特許を保有しつつも行使しない」と、2つに対して矛盾しない回答となっているので正解です。
現代文に近い読解問題なので、前後の文脈を丁寧に読みましょう。
第3問「問1」

第3問は第2問と同様に、生徒Sと先生Tの会話形式の問題です。
要約すると、客と店が交換する硬貨の合計枚数を最小にする「最小交換硬貨枚数」を計算する問題です。

まず「ア」ですが、「関数の説明と例」を丁寧に読めばイメージしやすく、8円は5円が1枚、1円が3枚から成るため、8円は4枚と計算できます。
上記の例と同様に、46円は10円が4枚と5円が1枚、1円が1枚から成るので「6」が答えです。
そしてここから少し発展し、「イ」は51円を客が店側に払い、5円を店側が客におつりを出すため「0」が正解となります。
「ウ」「エ」の回答は、おつりyを変数として調べる問題のため、支払いとおつりをセットとして考える「x+y」の「ウ」+変数「y」が「エ」が答えです。
第3問は読解力と数学的思考の両方が必要となります。
第4問「問1」


第4問は表から情報を読み取り、因果関係として考えられないものを選択する問題です。
このような問題は、表と一つひとつの設問を見比べて回答する方法がミスを防げます。
まず「0」ですが、栃木県において3時間以上6時間未満のグループが79分であるのに対し、1時間未満のグループが113分という結果になっているため、分析結果としては誤りです。
ただし、今回の設問では「分析できない仮説」を問われており、分析結果の正しさを答える問題ではありません。
そのため、分析結果としては「使用時間は食事の長さに関係はない」となりますが、表からデータを読み取り、分析することは可能なため、回答としては不正解です。
続いて「1」ですが、表のデータには、時間帯について記載されていません。そのため、表のデータからは「分析できない」と言えるため、「1」が正解となります。
大学入試「情報Ⅰ」に関するよくある質問

ここでは、大学入試「情報Ⅰ」に関するよくある質問を3つまとめました。
- 「情報Ⅰ」はいつから始まりましたか?
- 「情報Ⅰ」ではどのような力が求められますか?
- 「情報Ⅰ」の模試は受けられますか?
それぞれ回答していきます。
「情報Ⅰ」はいつから始まりましたか?
「情報Ⅰ」は2025年度入試から導入され、大学入試共通テストや国公立・私立大学の一般選抜で試験科目となりました。
特に国公立大学では共通テストの必須科目として設定されており、多くの大学で必要になります。一方、私立大学では選択科目として追加されるケースが多く、大学ごとに対応が分かれています。
「情報Ⅰ」ではどのような力が求められますか?

引用元:文部科学省|高等学校情報化「情報Ⅰ」教員研修用教材
「情報Ⅰ」では、データ分析やプログラミングなどの情報技術を活用し、思考力や問題解決能力を身につけることが求められます。
現代の「Society4.0」から「Society5.0」に進む中で、社会全体のITリテラシーを高めることが求められており、高校ではプログラミングが必修化されました。
「情報Ⅰ」で成績を伸ばすには、物事を多角的に捉え、自身で考える能力が必要といえるでしょう。
「情報Ⅰ」の模試は受けられますか?
「情報Ⅰ」の模試は「大学入学共通テスト 本番模試 情報Ⅰ」などで受けられます。
また、一部の塾では独自に「情報Ⅰ」の模試を実施している場合もあります。通塾を検討している塾で「情報Ⅰ」の模試を実施しているか確認してみましょう。
さらに、共通テストの形式に慣れるために、過去問や予想問題を活用することも効果的です。模試と併用して対策を進めることで、より実践的な力を養うことができます。
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まとめ
この記事では、大学入試の新課程「情報Ⅰ」について、内容・試験科目としての扱い、問題内容と対策方法を徹底解説しました。
「情報Ⅰ」は2022年度より共通必修科目となり、2025年度の大学入試から共通テストや一般選抜で追加された科目です。
「情報Ⅰ」は日常生活の中の課題をもとにした問題が多く、他の科目以上に想像力や柔軟な思考力が求められます。
国公立大学では共通テストの必修科目となり、私立大学では選択科目として導入される予定のため、選択するかを検討できます。
自身で物事を判断するのが得意と感じる場合は、「情報Ⅰ」を勉強することで高得点も狙えるので、私立大学を受験する方も受験科目として選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。