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大阪公立大学が2027年度より「秋入学」を導入予定!9月入学のメリット・デメリットとは

大阪公立大学が2027年度より「秋入学」を導入予定!9月入学のメリット・デメリットとは

「秋入学はどういう仕組みなのだろう」
「9月入学するとどんなメリットがあるの?」

大阪公立大学が2027年度より秋入学を検討していると話題になっていますが、なぜ秋入学に変更しようと動きがあるのか気になっている方や、そもそもの大学の秋入学の仕組みを知りたい方も多いでしょう。

本記事では大阪公立大学を事例に、秋入学について、日本の大学がどう変わろうとしているのか、世界ではどういう扱いなのか、秋入学するメリット・デメリットを解説します。

秋入学とは

秋入学とは9月に入学することを指し、これまで慣習となっていた4月入学とは異なる新しい取り組みになります。

9月入学を取り入れることで、日本から世界に留学しやすい環境と世界から留学生を受け入れやすい環境を整えるメリットがあります。

明治時代の日本では西洋教育を取り入れた背景から、9月の入学が主流でした。しかし、1886年に国の会計年度が「4月から翌年3月まで」に変更されたことをきっかけに、入学時期も4月に合わせるようになりました。

その結果、今日の日本では4月に入学するという慣習が出来上がり、「入学=4月」というように私たちのイメージを作っています。

大阪公立大学が秋入学を導入した背景

前述したように、秋入学を導入した背景には、世界の留学生を日本に招きやすく、日本の学生が世界に留学しやすい環境作りを目指す目的が挙げられます。

2024年2月9日に大阪府の吉村知事が第13回副首都推進本部会議にて、2027年度より大阪公立大学に段階的に秋入学を導入する計画を発表しました。

大阪公立大学は、2022年4月に大阪市立大学と大阪府立大学が統合し誕生した大学であり、現在は学部学生入学定員数が国公立大学3位です。

現在の日本では入学時期は4月が一般的であり、海外の大学で多く採用されている9月入学とは時期が異なります。

そのため、入学時期のギャップを無くすために、大阪市と大阪府が運営している大阪公立大学から秋入学を導入する計画が始まりました。

この計画には、世界から優秀な人材を招き、かつ日本人も海外に留学しやすい場を設けるといった狙いがあります。

なぜ秋入学が話題になったのか

秋入学が話題になった理由は2つです。

なぜ今のタイミングで4月入学を変更しようと国会やニュースで検討されているのかが理解できるでしょう。

コロナウイルス

1つ目は、2020年2月にコロナウイルスが蔓延したことで、安倍内閣総理大臣が臨時休校を要請したことで、国会で秋入学を検討する動きが見られたからです。

秋入学はもともと臨時休校が長期化する中で、対策の1つとして考えられました。

また、同年4月には、複数の知事が秋入学に肯定的な発言をしたことで、全国知事会でも議論されるようになりました。

その結果、国会や知事単位で議論され、秋入学は世間でも話題となるできごとになりました。

吉村府知事の発言

2つ目は、2024年2月の吉村府知事の発言です。

2027年度から大阪公立大学で秋入学を導入する計画を発表したことで、秋入学が注目されました。

2020年の段階では、秋入学の導入は検討する事案が多く、課題をクリアすることが難しいと判断され見送られました。しかし、今回は大阪府が主体で計画しており、達成に向けて動き出していることから再び話題になったのです。

秋入学を導入している国

秋入学を導入している国は多数存在しており、むしろ海外では秋入学を採用している国の方が多いのが現状です。

9月入学を採用している代表的な国をいくつかご紹介します。

G7の中では日本を除くアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダが採用し、G20では半数の国が秋入学を採用しています。

国名入学時期
アメリカ 9月(*州によって異なる場合あり)
カナダ 9月
スペイン 9月前半
イタリア 9月
フランス 9月
中国 9月(2月入学も可能)

なぜ日本で秋入学が浸透しないのか

日本で秋入学が浸透しない理由は大きく下記の内容が考えられます。

国民の生活習慣

4月入学が採用されてから長い時間が経ち、国民にとって4月が入学の一般的な月として認知されています。また、3月は卒業式で別れて、4月は入学式で新しい出会いが始まる、という習慣が身についています。

この文化がある中で、秋入学への変更を受け入れてもらうには時間が必要でしょう。

また職場の異動や転勤は4月や9月に多いですが、秋入学を採用した場合、子どもの進級と親の異動のタイミングが合わなくなるケースも出てきます。その結果、子どもが学期の途中で引越しするという避けたい事態も起こり得るでしょう。

学校や行事のへの影響

現在の日本では季節や長期休暇に合わせた行事が多くあり、とくに夏季休暇中の部活動の全国大会や課外活動の実施ができなくなります

例えば、夏の高校野球全国大会は8月に行われますが、秋入学を採用すると夏季休暇にはならず、卒業シーズンとなり日程調整が必要になります。

そうした場合に夏の風物詩が無くなる恐れがあり、国民に与える影響を想定しなければなりません。

会計年度による教員の採用

教員の採用時期は4月の入学時期に合わせて行っています。採用が3月末までに行われることが一般的であり、秋入学を採用する場合は新しく教員を採用するための予算と人事を再調整しないといけません。当然、時間もかかります。

4月入学制度が根付いている日本の現状では、学校や教育行政が9月入学への移行を支援する動きは不足しています

予算や人事手続きの調整、そして保護者や社会の理解と受け入れの面での課題が、秋入学の移行を難しくしている要因として挙げられるでしょう。

秋入学するメリット

秋入学を取り入れることで得られる効果は何なのでしょうか。

秋入学するメリットは大きく分けて3つあります。それぞれ解説していきます。

留学しやすい

まずは、留学しやすい点が挙げられます。世界の大学では9月から新学期が始まる国が多く、日本も9月に合わせることでスムーズに留学できます。

現在の状況では、4月入学の日本と9月入学の世界とでは約6カ月の差があり、入学を待たなければなりません。

そうした時間的制約を気にすることなく、留学できるようになることはメリットといえるでしょう。

留学生を受け入れやすい

次に、留学生を受け入れやすい点です。留学しやすいメリットと同様に、日本と世界とで新学期のタイミングが合致すれば、日本に留学を希望している方々をスムーズに受け入れることができます。

現在、日本に留学している外国人が多いのは1位の中国と2位のベトナムですが、ともに9月入学を採用しています。日本も9月入学を採用することで、より留学しやすい環境になると言えるでしょう。
参考:2022(令和4)年度外国人留学生在籍状況調査結果

日本に来る留学生が増えることで、国際交流が期待できます。

受験環境の安定

最後に、受験環境の安定が考えられます。受験シーズンは1〜3月と雪などによる悪天候やそれに伴う公共交通機関の遅れ、インフルエンザなどの感染症の流行など、受験生に対して大きな影響を及ぼす不可抗力のリスクがあります。

反対に秋入学であれば、受験期間になる7〜8月は天候が1〜3月と比較して安定しており、公共交通機関の遅れを心配することも少ないです。

冬よりも体調面で調整がしやすく「感染症にかかって高熱が出て受験できない」という最悪の事態を回避できる可能性は高いでしょう。

秋入学するデメリット

メリットに続いて、秋入学するデメリットについても解説していきます。

秋入学した場合のリスクや注意点を理解しておきましょう。

年間のスケジュールが崩れる

まずは、年間スケジュールが崩れる点が挙げられます。日本は明治以降からずっと4月入学を採用してきたため、4月始まりのスケジュールで年間の予定を組んでいます

4月に新しい1年が始まるという慣習が、秋入学を採用することで崩れてしまいます。

これまで例年通り実施していた定期試験の時期や部活動などの学校行事を1から見直さないといけません。これは大きなデメリットといえるでしょう。

新卒一括採用の時期と合わない

新卒一括採用の時期と合わないこともデメリットの1つです。現在、多くの日本企業は4月入社が一般的で、新入社員は3月に学校を卒業して4月に研修がスタートします。

もし、大学が秋入学を採用すると卒業のタイミングが8月となり、企業が新入社員を募集する期間と異なります。

翌年の4月に入社するとしても、卒業後の約6カ月間は空白の期間が生まれます。9月入学を勧めるにあたり、新卒一括採用の時期と合わせないといけません。そのため、企業側の体制の見直しが必要になるでしょう。

まとめ

日本では4月入学が一般的でしたが、大阪公立大学が2027年度を目標に導入予定です。

秋入学を導入することで日本と世界の留学が活発になるメリットがあります。その反面、これまでの慣習を崩したり、人材の確保が課題だったりと問題は山積みです。

現在の政府や企業、学校などの多くは4月始まりの3月終わりで動いていますので、秋入学は一切考慮されていません。日本全体で9月入学を導入するためには、さまざまなハードルを越えなければなりません。

留学を考えている人は、将来の自分にどのような影響があるのか、大阪公立大学の動きを追っていくと参考になるでしょう。

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