大学受験の入試の種類をわかりやすく解説!一般選抜や推薦型選抜など自分に合った入試形態を選びましょう
文部科学省より公表されたデータでは、2023年の大学進学率は57.7%と過去最高の数字になっております。8年連続で最高記録を更新しており、大学進学を希望する高校生は年々増加していることが分かります。
参考:令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)
大学受験を意識し始めたときに戸惑うことの1つとして挙げられるのは、入試の種類の多さではないでしょうか。
大学受験の入試は、主に次のような選抜方法があります。
- 一般選抜
- 総合型選抜
- 学校推薦型選抜
- 特別選抜
どれを選べばいいか迷ってしまいますが、志望大学にどの入試方法があるかを確認して自分の得意分野や適性に合った種類を選ぶことが大切です。
たとえば、志望大学の受験科目と自分の得意科目が一緒の場合は一般選抜で受験したり、高校生活で取り組んだ課外活動で大きな実績を残している場合は総合型選抜を選ぶことで、受験を有利に進めることができるでしょう。
この記事では、大学受験の入試の種類や対策方法などを解説しています。大学受験で合格するために、自分に合った入試の種類を選んで準備していきましょう。
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この記事のポイント
大学受験の入試の種類
近年、大学受験の入試方式は多様化して、種類によって評価される点は大きく異なります。それぞれの特徴に合わせた対策が求められるでしょう。
たとえば、大学受験と言われて最初にイメージされる一般選抜では、受験科目の勉強が最優先になります。また、一般選抜といっても、国公立大学と私立大学では実施内容が異なります。
まず最初に、大学受験の入試の種類と特徴、対策を解説していきます。
一般選抜
大学受験の入試の種類として最もスタンダードなのが、一般選抜です。
大学入学資格があれば誰でも受験することができ、他の入試方式に比べて募集人数が多いのが特徴です。
一般選抜では、大学入学共通テストや個別試験の結果のみで合否が決まります。そのため、高校時代に目立った活動実績がなかったり、高1~高2のときに学業を疎かにしたりしていても、試験日までに学力をつければ逆転合格を狙える入試の種類です。
自分の学力のみで挑戦できるため門戸は広いですが、体調不良や緊張などで試験当日のコンディションに左右されて自分の実力が発揮できないこともあります。事前準備を入念に行いましょう。
【国公立大学の一般選抜】
国公立大学では、大学入学共通テストと2次試験(個別試験)の両方を受験するのが一般的です。
なお、大学入学共通テストの活用は大学によって異なります。
多くの大学では、大学入学共通テストと2次試験(大学独自の個別試験)の合計点で合否が判定されますが、各試験の配点は大学によって異なります。大学入学共通テストにウエイトを置くケースや、2次試験の比重が高いケースなど、さまざまです。
また一方で、大学入学共通テストの得点が、大学の基準点に満たないと2次試験が受けられない2段階選抜という種類もあります。
2段階選抜の実施有無は大学によって異なり、志願者数によって2段階選抜を行うか否かを判断する大学もあります。これは志願者が集中する難関大学や医学部で実施されることが多いでしょう。
【私立大学の一般選抜】
国立大学が大学入学共通テストの結果で足切りされる可能性があるのに対して、私立大学の一般選抜では大学入学共通テストを使わずに、個別試験のみで合否判断される大学も多く見られます。
一方で、個別試験を実施せずに、大学入学共通テストのみで合否判定したり、大学入学共通テストと個別試験の両方が課されたりするケースもあります。志望校の選抜方式を確認して、対策を練りましょう。
もし志望校が決まっていない場合は、個別試験の傾向を分析して自分の得意科目を活かせる大学を選ぶと良いでしょう。また、国公立大学の滑り止めとして私立大学を受験する場合は、大学入学共通テストのみで受験できる大学を選ぶなど、自分に有利になる受験方式を選んでください。
総合型選抜
総合型選抜は、アドミッションポリシー(大学が求めている学生像)に当てはまるかどうかが合否の判断になる入試の種類です。
学力検査ではなく面接の質疑応答や小論文など、学力試験だけでは測れない個々の特性や能力を重視する選抜する方法になります。
後述する学校推薦型選抜とは異なり、高校からの推薦は必要ありません。大学から示される出願条件をクリアすれば、誰でも受験できるのが特徴です。
ただし出願資格として、英語の資格取得や一定以上の学校の成績を求められる大学もあります。たとえば、立命館大学グローバル教養学部ではTOEFLで68点以上が出願資格として指定されています。
また、高校で特定の科目を履修していることが条件になっている場合もありますので注意しましょう。
学校推薦型選抜
学校推薦型選抜の合否判定は、書類審査や小論文、面接などを中心に多面的な評価によってされます。
総合型選抜に選抜方法は似ていますが、出願するためには高校からの推薦書が必須となっています。高校での学業成績が重視されており、一定の成績基準を満たしていることが推薦の条件になっている大学が多くあります。
高校1年生から大学受験を意識して、学校で実施される定期テストにもしっかりと取り組んでください。高校生活を通して安定した好成績を残すことを意識する必要があるでしょう。なお、学校推薦型選抜では高校に推薦してもらうという性質上、推薦を受けた大学に合格した場合は他の大学を受験することはできません。
また、学校推薦型選抜には大きく2つの推薦の種類があります。詳しく見ていきましょう。
【指定校推薦】
指定校推薦は、各々の大学が特定の高校に対して推薦枠を設けており、その高校から推薦された生徒が受験できる制度です。
そのため、どんなに高校で好成績を残しても、課外活動で優秀な結果を残していても、大学に指定された高校に通っていなければ指定校推薦では受験できません。
大学と高校で交流をしていたり、他にもキリスト教系の大学では同じくキリスト教系の高校に推薦枠があるケースが多くあります。
また、中高一貫校の学校では中学時代から指定校推薦を視野に入れている生徒もおります。早い段階から志望大学が定まっている場合は、推薦で入学することを前提に準備しましょう。
指定校推薦では高校内での競争率が高くなりがちですが、推薦されれば合格の可能性が非常に高いのが特徴です。
【公募推薦】
高校の推薦があれば、誰でも受験できるのが公募推薦です。
特定の高校に推薦枠がある訳ではなく全国の高校生が応募できるため指定校推薦よりも競争率は高いです。特に国公立大学などの難関大学では顕著でしょう。
公募推薦では高校の成績が基準を超えている必要があったり、スポーツや文化活動で結果を残していることが求められます。
高校で部活動に打ち込んで好成績を残しているけれど、部活動に熱心すぎて一般選抜の準備が間に合わないときには、公募推薦を考えてもいいかもしれません。
地域特別枠推薦
大学を卒業後、地元で就職することを前提としているのが地域特別枠推薦です。
特に、教員不足や医師不足の地域において、教員や医師を確保することを目的として実施されています。
また、貸与型の奨学金が支給されて、地元に就職したら返済が免除される大学もあります。
地域型特別枠推薦では卒業後の進路について選択肢が少なかったり、自分では選択できずに決められた道を進むことになります。地域特別枠推薦で大学に進学する場合は、大学のある地域についてもよく調べてから受験しましょう。
特別選抜
スポーツや芸術で優れた成績を残していたり、海外での経験が長い帰国子女だったりするときに検討したいのが、特定の経歴があることを前提とした特別選抜です。
大学ごとに異なる基準や方法で実施されているのが特徴ですが、書類審査、面接、実技試験、小論文などで合否の判断がされるケースが多くあります。
帰国子女の場合は、海外に滞在していた期間が指定されているなど受験できる条件は大学によって異なるため、出願条件をよく確認しましょう。
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国公立大学と私立大学の入試傾向
国公立大学は一般選抜で合否を判断することが多い上に、大学入学共通テストの受験が求められます。一方、私立大学は多様な選抜方式が用意されているなど入試傾向が異なります。
国公立大学
国公立大学では、一般選抜で合否判定されるケースが全体の約80%を占めています。
大学入学共通テストと個別試験の両方の受験を求められることが多く、さらに大学入学共通テストは5教科7科目の受験が必要となるのが一般的です。2025年度からは情報が加わり、6教科8科目となる学校も多いです。
大学入学共通テストはマークシート方式の出題ですが、ほとんどの国公立大学で記述式の問題が出題されています。そのため、私立大学(記述式の出題をする大学が40%弱)と異なり、記述式の対策が必須となるでしょう。
私立大学
私立大学は国公立大学と異なり、各大学ごとに多様な選抜方式が準備されています。
一般選抜での受験科目も基本的に3教科であり、1〜2科目で受験できる大学もあるなど、国公立大学より受験科目が少ないのが特徴と言えるでしょう。
大学入学共通テストのみで合否判定されたり、得意科目や得意なテスト形式(大学入学共通テストはマークシートのみ)を選択できるなど、自分に有利な選抜方式を選べるケースが多くあります。
大学入試スケジュール:大学受験の準備は計画的に進めよう
大学入試の実施日は、選抜方式や国公立大学/私立大学で異なります。
推薦型選抜のスケジュール
大学入学共通テストの受験が求められない場合は11月から12月に実施されて、一般的には年内に合否結果が分かります。
大学入学共通テストを活用する場合は通常1月に選考が行われますが、大学によってスケジュールは異なります。志望校のスケジュールは早めに確認するようにしましょう。
なお、指定校推薦の場合は、7月から10月にかけて校内選考が行われるのが一般的です。
大学入学共通テストのスケジュール
例年、大学入学共通テストの実施時期は、1月中旬です。
ただし、感染症や事故で受験できなかった場合は、追試での救済措置もあります。診断書が必要だったり、申請期間が短かったりするため、迅速に対応することが求められます。
また、電車が遅延したり運休したりしたときには受験開始時間を遅らせることもありますので、遅延証明書をもらった上で焦らず受験会場に向かいましょう。
個別試験のスケジュール
国公立大学の個別試験は2月下旬から前期日程、中期日程、後期日程と実施時期が決まっているのに対して、私立大学では1月下旬〜3月下旬と大学によってまちまちです。
【国公立大学の個別試験】
国公立大学の個別試験は、前期日程、中期日程、後期日程の3日程があります(中期日程は公立大学のみ)。
国公立大学の一般選抜では大学入学共通テストの受験が必須であるため、前期日程が2月下旬以降、中期日程が3月初旬以降、後期日程が3月中旬以降に実施されます。
ただし、どの大学も後期日程より前期日程の方が圧倒的に募集人数の枠は多いです。志望校は前期日程で受験するのがよいでしょう。
【私立大学の個別試験】
私立大学の個別試験は1月下旬〜3月下旬と実施日程が幅広いです。理由として、受験科目や大学入学共通テストの要不要によって複数回の受験が認められていることが挙げられます。
志望校の入試日程や受験科目を考慮して併願校を決めましょう。
大学受験の準備
大学受験に向けて勉強を頑張っても、受験日までに必要な科目や単元の勉強が終わらなければ意味がありません。大切なのは、受験日に向けて効率よく勉強できるように計画を立てることです。
現状の把握
計画を立てるためには、まず現時点での学力を把握しましょう。志望校で求められるレベルを確認して、そのギャップを認識することからはじめます。
学力の把握には模試の受験結果を使い、志望校のレベルを確認するためには過去問を分析しましょう。ただし、過去問は1回分のみを分析して、残りは応用力がついてから初見で解けるよう後に取っておきます。
計画の立案
自分の学力と志望校のレベルのギャップを明確にしたら、あとはギャップを埋めるための計画を立てるだけです。まずは、残された時間を目一杯使った場合に、いつ頃までに何ができるようになるかを考えます。
たとえば、高校3年生になった直後に長期計画を立てるとします。志望校では応用問題が出題されるにもかかわらず、基礎的な知識が十分に備わっていない場合、夏までに受験範囲について体型的に総ざらいして、夏休み中に基本問題は不安なく解けるところまでレベルを上げて、秋以降は応用問題を段階的に難しい問題へと移行する、というようなイメージです。
長期計画を立てたら、中期計画(目安:1ヶ月単位)、短期計画(目安:1週間単位)に細かく分けていき、具体的に何をすべきかを迷わないように日々の学習計画を立てていきましょう。
入試対策のヒント:大学受験で失敗しない勉強法を身につけよう
受験勉強で成績をあげるには、コツがあり、効率的・効果的に勉強するのが合格への近道です。ここからは大学受験で失敗しない勉強法を紹介していきます。
効率的に暗記する
勉強したことを忘れずに定着させるためには、何度も同じ問題に触れることが大切です。短期間で何度も繰り返すことで記憶が定着します。
逆に非効率的なのは、英単語や歴史の年号、人名など暗記項目はまとまった時間をとって覚えてしまい、忘れた頃に復習することです。暗記科目については通学時間を使ったり、部屋の壁に暗記事項を貼って時々確認したり、すきま時間を有効に使うようにしましょう。
また、寝る前に覚えたことを睡眠中に記憶させているという研究結果もあります。昼間に暗記しようと頑張って夜になると忘れてしまうという経験がある方は、寝る直前に暗記して睡眠中に定着するというサイクルを作ると良いでしょう。
自分のレベルに合った参考書・問題集を使う
自分のレベルより易しすぎたり難しすぎたりする参考書や問題集を使うと、成績を伸ばすのが難しくなります。
自分が知っていることばかりが載っている易しすぎる問題を解くことは時間の無駄です。また、難しすぎる教材を使うことも非効率で、背伸びをして自分の実力以上の教材を使っても解説が分からなかったり理解するのに時間がかかります。
「自力では解けないけれど、解説を読めばわかる」、「解説を読んで理解した問題をもう一度解いて自力で解けるようになる」というサイクルを回していくことを意識してください。
自分のレベルにあった教材は「3割ほど解ける」というのが目安となります。学校や塾には、いろいろな教材が取り揃えられていますので、自分で購入する前に事前に確認するとよいでしょう。
模擬試験の結果を分析
模擬試験は、自分の実力を測るために最適な材料で、模擬試験の結果を分析することは、大学受験対策において非常に重要です。
結果を分析する際は、まずは正解と間違いのパターンを確認し、どの分野や問題形式に弱点があるかを特定しましょう。その後、弱点を補強するための具体的な学習計画を立て、繰り返し復習することが大切です。
また、模擬試験を受ける度に自分の進捗をチェックし、学習の改善点を見つけ出すことで、効果的な勉強法を確立することができます。これにより、効率的に学力を向上させ、本番の試験で自信を持って臨むことができるでしょう。
過去問を活用する
大学受験で失敗しないために過去問を活用することは、大学受験対策の中でも特に有効な方法です。
過去問を通じて出題傾向や頻出問題を把握することで、効率的な勉強が可能となります。まず、過去問を解く前に試験の全体的な傾向を把握し、自分の苦手分野を特定しましょう。
そして、過去問を実際に解き、時間配分や問題の難易度を体感することで、試験本番のシミュレーションを行います。解答後は、間違えた問題を徹底的に復習し、解答解説を参考にして理解を深めることも大事です。
同じ大学の過去問を繰り返し解くことで、問題のパターンや出題形式に慣れることができ、試験当日に自信を持って対応できるようになります。
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大学受験 個別戦略指導会
まとめ
大学受験の入試形態は多様化しており色々な種類があります。
それぞれに対策方法が異なっており、一般選抜は広く門戸が開かれ、共通テストと個別試験の結果で合否が決まるケースが多いです。学力の高い学生にとって逆転合格のチャンスがあり、対策次第で成功が可能です。
一方、総合型選抜や学校推薦型選抜は、学力以外の活動実績や特性が評価されるため、課外活動での実績が肝になります。自分に合った入試形態を選び、計画的に準備することで、受験を有利に進めましょう。志望校の入試方式を理解し、自分の強みを最大限に活かすことを意識してください。
大学受験を控えている高校生は、この記事を参考に自分に適した入試の種類を選択して、合格を目指しましょう。