音楽を聴きながら勉強すると集中力が上がる?得られる効果と注意点を解説
「音楽を聴きながら勉強するのって効果あるの?」
「音楽は聴いた方がいいの?聴かない方がいいの?」
このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
実際に、音楽を聴きながらの勉強には期待できる効果があると脳科学的に正しいとされている一方、さまざまな注意するべきことも存在します。そのため、それらを理解したうえで自分に合った方法で工夫して取り入れていくことが大切です。
この記事では、音楽を聴きながら勉強することでどんな効果が得られるのか、注意事項とその対策について解説していきます。
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この記事のポイント
音楽を聴きながら勉強する人は成績が良い傾向にある
まず最初に、リサーチ会社であるOnePoll社が実施した調査(米国人2000人を対象)を紹介します。
この調査によると、音楽を聴きながら勉強する人は、音楽を聴かないで勉強する人よりも「GPA(大学の成績表評価)が3.2以上だった」という調査結果が出ているそうです。
また、同じ調査で平均的な勉強時間が週に5時間半なのに対し、音楽が好きな人は週に7時間以上勉強する傾向もありました。
個人差はありますが、音楽を聴きながらの勉強は実際に効果があることが調査でわかりました。それでは、具体的に一体どのような効果があるのでしょうか。
音楽を聴きながら勉強することで得られる4つの効果
音楽は、人間の脳にさまざまな良い影響を与えることが実証されています。
音楽を聴きながら勉強すると、脳に良い作用が働き、学習にプラスの効果をもたらす可能性があるのです。
ここでは、音楽を聴きながら勉強することで得られる効果について解説します。
勉強に没入できる
勉強場所によっては、話し声や雑音などが耳に入り集中力が散漫になってしまうことがあります。これは脳が勉強内容と同時に周囲の音を処理しようとするために起こってしまう現象です。
しかし、イヤホンやヘッドホンなどで音楽を聴きながら勉強すると、周りの音を気にせず学習に取り組めるメリットがあります。
耳を塞いである程度の雑音を遮断し、代わりに好きな音楽を流すことで脳が複数の情報を処理する必要がなくなります。結果、自分だけの世界を作りやすく勉強に集中しやすくなります。
勉強のやる気が向上する
自分の好きな音楽を聴きながら勉強すると、やる気が向上し、前向きな気持ちで机に向かうことができます。
これは、音楽を聴くことで興奮状態になると脳の神経伝達物質の一種「ドーパミン」が多く分泌されるからで、集中力が増して、ポジティブな気持ちになる効果が得られます。
スポーツ選手が試合前に音楽を聴いてモチベーションを高めている、という話を耳にしたことがあると思いますが、大事な場面で力を出せるように音楽を利用して集中力を高めているのです。
勉強のシーンにおいても「難しい問題を解かなければならない」「苦手な科目の勉強をしなければならない」といったマイナスな感情に作用し、やる気を出させてくれます。
ただし、ずっと同じ音楽を聴き続けるのではなく、その時の自分に合ったモチベーションアップに繋がる音楽を選ぶことが重要でしょう。
リラックス効果がある
前述の「やる気が向上する」とは反対に、ゆったりとしたリラックスできる音楽を聴くことで「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」が多く分泌されます。
セロトニンには通常時より痛みを和らげる効果もあるため、勉強のストレスを軽減させ、心理的に安定した状態で取り組むことができるのです。
音楽を聴くことで同時にドーパミンも分泌されますが、セロトニンにはドーパミンの過剰な分泌を抑えるため、「興奮しすぎずちょうどいい状態」を維持する効果もあります。
「セロトニン」と同時に注目したいのが、「α(アルファ)波」という脳波の種類です。
α波は「リラックス状態、集中状態」を表し、脳を活性化させ記憶力や集中力が高まるといわれています。
音楽を聴きながら勉強することで、リラックス状態になり集中力を高める効果が見込まれるでしょう。
学習内容を深く記憶できる
「勉強をすると頭が良くなる」という、一見当たり前のように思えることですが、実はこの仕組みに「θ(シータ)波」が大きく関わっていることが判明しています。
脳の海馬にθ波が伝わることで、記憶の形成に関与している海馬新生ニューロンという神経細胞が増え、記憶力が強化されます。
このθ波は作業に集中している時に発生しますが、クラシック音楽を聴いている時などにも発生しています。
音楽を聴きながらの勉強は、記憶にプラスの効果を発揮するメリットがあるのです。
音楽を聴きながら勉強する際に注意する点
「ただ音楽を聴くだけで勉強が効率よくなる」というわけではありません。
音楽を効果的に活用して勉強にプラスの効果をもたらせるには、自分に合った方法で正しく取り入れる必要があります。
ここからは、音楽を聴きながら勉強する際に注意しなければならない点と、その対策方法をご紹介します。
集中力が低下する恐れがある
音楽を聴くことで「自分の世界に集中できる」という効果がある一方、逆に「集中できない」と感じる人も多くいます。
普段から耳にしている音楽や好きなアーティストの歌などは、勉強することよりも聴くことに集中してしまい、音楽に気がとられてペンが止まってしまうこともあります。
音楽を聴きながらの勉強には、音によって集中力が低下してしまうデメリットがあるのです。
特に、日頃静かな場所で勉強している人は、音楽が流れている環境では集中力を維持しづらいと感じるでしょう。
【対策】音楽を聴くタイミングを「勉強前」にする
音楽を聴くと勉強に集中できないという人は音楽を聴くタイミングを「勉強中」から「勉強前」変えてみましょう。
先程スポーツ選手が試合前に音楽を聴く例を挙げましたが、この方法は勉強にも十分に活用することができます。
音楽を聴いた後に勉強をする、というルーティンを作ることで脳や体が「これから勉強をするぞ」という準備がしやすくなります。
勉強に入る前に気分が上がる音楽、もしくは集中するために脳を落ち着かせるための音楽など、自分に合うベストな音楽を選んでみましょう。
「音楽を聴きながらの勉強は集中できない」、「でも何か勉強にスイッチが入ることがしたい」という人は取り入れてみてください。
時間を意識しすぎてしまう
音楽を聴きながら勉強することで、時間を意識し過ぎてしまうマイナスの要素があります。
例えば、自分の好きな音楽であれば、1曲あたりの時間を大体把握しているのではないでしょうか。曲が終わるたびに「今何分くらい経った」と無意識に時間の経過を感じてしまいます。
時間を忘れるくらい集中して勉強するのに、音楽を聴きながらの勉強がデメリットになることもあります。
【対策】知らない曲を選ぶ
時間を気にしてしまう対策としては、今まで聞いたことのない音楽に限定することです。
1曲が何分で終わるのかわからない、そもそも終わりの無い環境音など、自分が知っている情報が少ない音楽を選ぶことで、音楽への意識が薄れて勉強に没頭できるようになります。
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静かな空間で勉強できなくなってしまう
音楽を聴きながら勉強するのに慣れてしまうと、静かな空間に違和感を覚えてしまうことがあります。
音楽がないと集中できない状態になってしまうと、試験など大切な本番の場面でいつも通りの力が発揮できなくなってしまいます。
常に何か音が聞こえるような状態に慣れてしまわないようにすることが大切です。
【対策】音楽を聴かずに勉強する時間をつくる!
音楽を聴きながら勉強するばかりではなく、静かな空間で学習に取り組む時間もつくるようにしましょう。
意識的に無音にした環境の中で集中する時間を設けて、「ながら勉強」に慣れてしまわないための工夫をしてください。
眠気に襲われる可能性がある
前述の通り、音楽には脳をリラックス状態に導く効果があり、勉強へのストレスを軽減してくれます。
しかし、反対にリラックスし過ぎてしまうと、緊張感をもって勉強に取り組むのが難しくなってしまうマイナス面もあります。
自然の音やクラシックを聴くと無条件に眠くなる、なんて人もいるのではないでしょうか。
集中力が低下して、普段は絶対に間違えないようなケアレスミスをしてしまう可能性もあるので注意が必要でしょう。
【対策】体を動かす
音楽を聴きながら勉強して眠くなった場合、立ち上がったり歩きながら勉強することをおすすめします。
リラックスして勉強するのは悪いことではありませんし、歩きながらの勉強は脳が活性化して学習効果があると証明されており一石二鳥です。
体を動かすことで、より一層勉強に集中して取り組めるでしょう。
暗記、思考が必要な勉強には向かない
年号をひたすら覚えるとき、数学の問題を解くとき、記述が必要な問題に取り組むときなど、暗記や深く思考する勉強の時に音楽を聴くことは、あまりおすすめできません。
人間の脳には「ワーキングメモリ」と呼ばれる「現在行っている作業の必要な情報を一時的に保存しながら処理をする」という働きがあります。
しかし音楽を聴くことで、脳の容量に勉強以外の情報が入り込んでしまいます。結果、脳の処理能力が落ちて記憶できる量が減ったり、深く考えることができなくなったりしてしまうのです。
【対策】勉強内容によって音楽の取り入れ方を変える
記憶したり深く思考する勉強ではなく、漢字の書き取りや英単語の反復練習など、単純作業を伴う勉強をする際に音楽を聴いてみましょう。
じっくり考える必要がない勉強であれば、ワーキングメモリが余っている状態になります。
この状態だと、音楽を聴きながらでも学習の効率が下がらないばかりか、音楽を聴くことで勉強以外のことに注意が向いてしまうデメリットを防ぐ効果もあります。
音楽を聴くことでパフォーマンスが上がることもあるでしょう。
勉強しながら聴くのにおすすめの音楽
音楽を聴きながら勉強するうえで、曲選びは特に工夫したいポイントです。
歌詞があって、感情が揺さぶられる曲を聴きながら勉強してしまうと、学習の内容より音楽に気が取られてしまいます。
特に日本語の曲は歌詞が自然と耳に入るため頭の中が音楽に支配されやすく、勉強に集中するには不向きです。
勉強中に聴くのであれば、歌詞がないジャズやクラシックなどの聴き流せる曲がオススメです。メロディーがある音楽では集中できないという人は、自然の環境音、適度な雑音を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ここでは、勉強中におすすめしたい音楽を4種類ご紹介します。
ご自身に合った曲選びの参考にしてください。
クラシック音楽
クラシック音楽は歌詞がなく、音色も柔らかいため、勉強中にかける音楽として適しています。
オーケストラや吹奏楽など楽器の数が多い形態の演奏よりも、ピアノやバイオリンの独奏など楽器の数が少ない形態の演奏の方が聴覚への刺激が小さく、勉強に集中できるでしょう。
カフェの店内に流れるBGMのような感覚で聴き流せるため、勉強中に聴く音楽としておすすめです。
自然環境音楽
自然環境音楽は、スローテンポで強弱の変化もあまりなく、まるで自然の中にいるような気分を味わうことができます。
風が吹き抜ける音や小鳥のさえずり、波音を聴くことで、勉強中のストレスを軽減し、リラックスして穏やかな心で学習に向かえるでしょう。
自然環境音楽にはクラシック音楽のようなメロディはありません。そのため、作業用BGMとして多く用いられています。
思考の妨げになることがなく、勉強中におすすめの音楽です。
ヒーリングミュージック
ヒーリングミュージックとは、心理的な安定を促すために作られた音楽です。
ヨガに多く用いられ、自律神経を整える効果が得られます。
また、ヒーリングミュージックは集中力が高まる効果があることでも知られているため、勉強しながら聴く音楽としておすすめです。
雑音
最後に紹介するのは音楽のようなメロディーではなく「雑音」です。
完全な無音の環境よりも「50デシベル」程度の雑音の中の方が集中力が増すといわれています。
そしてこの「50デシベル」に近い雑音で代表的なのは「ホワイトノイズ」と呼ばれる砂嵐のような「ザーッ」という音で、これを聴くと集中力がアップする効果があります。
静かな場所よりカフェで勉強した方が集中できる人もいるのではないでしょうか。適度に雑音があると、周りに意識を取られることなく勉強に没頭できるのです。
音楽を聴きながらだと集中できない方でも、雑音を聴きながら勉強すると効率が上がるかもしれません。一度試してみてください。
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音楽を聴きながらの勉強は聴く曲やタイミングを工夫しよう
音楽には、やる気や集中力を向上させたり副交感神経を高めたりと、プラスの効果がたくさんあります。この効果を上手に活かせれば、音楽を聴きながらの勉強は意味のあるものになるでしょう。
一方で、音楽を聴きながらの勉強には、人によっては集中力が低下する、静かな環境で勉強ができなくなるなど、逆効果になることもあります。
音楽を聴きながらの勉強を有意義なものにするためには、これらのメリットやデメリットを踏まえ、聴く曲やタイミングなどを工夫することがとても大切です。
この記事でご紹介した内容を参考に、音楽を上手に活用した勉強方法を取り入れてください。